
焼肉店やレストランでの導入が進んでいる無煙ロースターは、客席で発生する煙や油を効率的に処理し、快適な食事空間を提供する優れた設備です。しかし、その性能を十分に発揮させるためには、導入前に換気と排気の基本的な仕組みを正しく理解しておく必要があります。
ここでは、無煙ロースターの運用に不可欠な排気システムと、それに関わる空気の流れについて解説します。
無煙ロースターの排気メカニズム
無煙ロースターは、調理中に発生する煙や水蒸気を、焼き網のすぐそばにある吸気口から強力に吸引する仕組みになっています。一般的な換気扇が天井付近で煙を捕集するのに対し、発生源の近くで直接吸い込むため、店内に煙が拡散するのを防ぐことができます。
この排気システムには、主に2つの方式があります。一つは、店外に設置した排気ファンを用いてダクトを通じて強制的に排出する「外部排気方式」です。もう一つは、テーブルの下にろ過装置を備え、煙や油分を取り除いてから空気を店内に戻す、あるいは循環させる方式です。多くの店舗では、排気効率とメンテナンス性の観点から外部排気方式が採用されています。
換気における「給気」の重要性
換気とは、室内の汚れた空気を出し、外から新鮮な空気を取り入れる一連の流れを指します。無煙ロースターを導入する際に最も注意すべき点は、排気量に見合った「給気」を確保することです。
ロースターが店内の空気を強力に排出している際、同等量の空気が外から供給されないと、店内が負圧(気圧が低い状態)になります。負圧の状態が強まると、以下のような現象が起こる可能性があります。
-
重い扉の開閉が困難になる。
-
下水のような不快な臭いが排水口から逆流する。
-
ロースターの吸い込み力が低下し、煙が漏れ出す。
そのため、排気ファンを回す量に合わせて、給気口や給気ファンを適切に配置し、空気の通り道を設計することが不可欠です。
メンテナンスと排気効率の維持
無煙ロースターの排気能力は、日々の清掃と定期的なメンテナンスに大きく依存します。吸い込まれた煙には多くの油分が含まれており、これらはダクトの内部や排気ファンに蓄積していきます。
ダクト内に油が溜まると、空気の通り道が狭くなり、本来の排気性能が発揮できなくなります。また、蓄積した油は衛生面だけでなく、防災上の観点からも定期的な清掃が求められます。フィルターの洗浄やダクト内部の状態確認をルーチン化することが、快適な店内環境を維持する鍵となります。
適切な設計が店舗環境を左右する
無煙ロースターを効果的に活用するためには、単に機器を設置するだけでなく、店舗全体の空気の流れを計算した設計が求められます。エアコンの風向きがロースターの吸気口に干渉すると、煙が巻き上がってしまうこともあります。
導入を検討する際は、客席の配置とともに、給気と排気のバランス、そしてメンテナンスのしやすさを総合的に判断することが重要です。

無煙ロースターの性能を最大限に活かし、クリーンな店舗環境を実現するためには、専門的な視点による換気・排気設計が欠かせません。より具体的な導入計画や、店舗に合わせた最適な設備構成をご検討中の方は、多くの施工実績を持つ株式会社野田ハッピーへご相談ください。公式HPでは製品の詳細や事例を紹介しています。
