排気ダクトとは?飲食店に必要な構造・役割と設計、清掃の基本を解説

飲食店の厨房では、調理によって熱、蒸気、煙、におい、油を含んだ微粒子などが発生します。これらを厨房内に滞留させず、建物の外へ排出するために設けられる設備が排気ダクトです。

排気ダクトは、単なる空気の通り道ではありません。厨房内の作業環境を保ち、客席への煙やにおいの流出を抑え、燃焼機器を安全に使用するための換気設備の一部として重要な役割を担っています。

ただし、必要な排気量やダクトの構造は、店舗の広さだけで決まるものではありません。使用する調理機器、火力、調理方法、営業時間、建物の構造、排気口の位置などを総合的に考える必要があります。

この記事では、排気ダクトの基本的な役割から、飲食店に必要な構造、設計時の注意点、清掃や点検の考え方まで分かりやすく解説します。

排気ダクトとは

排気ダクトとは、厨房や室内で発生した空気を建物の外へ運ぶための筒状の設備です。一般的には金属製の管が使用され、天井裏、壁の内部、床下、建物の外壁などを通して屋外の排気口までつながっています。

厨房では、調理機器の上部などに設置された排気フードから煙や蒸気を吸い込みます。吸い込まれた空気は排気ダクトを通り、排気ファンによって屋外へ排出されます。

つまり、排気設備は主に次のような流れで構成されています。

調理機器

排気フードまたは吸込口

油脂除去装置

排気ダクト

排気ファン

屋外排気口

店舗によっては、電気集塵機、消臭装置、油煙処理装置などが排気経路の途中に設置される場合もあります。

飲食店で排気ダクトが必要な理由

飲食店の厨房では、一般の住宅よりも多くの熱や蒸気が発生します。炒める、揚げる、焼く、ゆでるといった調理を長時間続けるため、適切な排気が行われなければ厨房内の温度や湿度が上がりやすくなります。

煙や油を含んだ空気が厨房内に滞留すると、壁、天井、照明、空調設備などに油汚れが付着します。客席と厨房が近い店舗では、煙やにおいが客席側へ流れ込むこともあります。

また、ガスなどの燃焼機器を使用する場合は、排気だけでなく給気も必要です。厚生労働省は、業務用厨房施設でガス機器を使用する際には、給気と排気の両方を行うよう注意を促しています。換気が不足すると燃焼状態に影響し、一酸化炭素が発生する危険性もあるため、排気設備は厨房の安全管理にも関係します。

食品衛生に関する施設基準でも、食品などを汚染しないよう、適切に換気できる構造または設備を設けることが求められています。

排気ダクト設備の基本的な構造

飲食店の排気設備は、排気ダクトだけで機能するものではありません。複数の設備を組み合わせて、厨房内の空気を屋外へ排出します。

排気フードは、調理機器から上昇する熱気、蒸気、煙などを集める設備です。調理機器の大きさや設置位置に対してフードが小さすぎたり、離れすぎたりすると、発生した煙を十分に捕集できないことがあります。

油を使用する調理では、排気フード内にグリスフィルターなどの油脂除去装置を設けます。これは、排気に含まれる油分をできるだけダクト内へ入れないための設備です。

排気ダクトは、集めた空気を排気ファンまで運びます。排気ファンはダクト内に空気の流れをつくり、最終的に屋外へ排出します。

焼肉店などでは、各テーブルに設置された無煙ロースターから床下のダクトへ排気する下引き方式や、焼き面の上部に設置したフードから排気する上引き方式があります。店舗の構造や客席配置に応じて、適した方式を検討します。

排気ダクトの形状と大きさ

排気ダクトには、角形と丸形があります。角形ダクトは天井裏などの限られた空間に納めやすく、店舗や建物の構造に合わせて製作しやすい形状です。丸形ダクトは、同程度の断面積で比較した場合に空気が流れやすく、接合部を少なくできる場合があります。

必要なダクトの大きさは、排気する空気の量や適切な風速を基に設計します。ダクトが細すぎると空気抵抗が大きくなり、十分な排気量を確保しにくくなります。反対に、必要以上に大きくしても、設置スペースや施工方法などの課題が生じます。

また、曲がりが多い、経路が長い、途中で急に細くなるといった構造は、空気抵抗を増やす原因になります。設計時には、できるだけ無理のない経路を確保しながら、建物の梁、配管、空調設備などとの位置関係を調整します。

排気だけでなく給気も必要

排気ファンが厨房内の空気を外へ出すと、その分だけ新しい空気を室内へ取り入れる必要があります。この取り入れる空気が給気です。

排気量に対して給気量が不足すると、厨房内の気圧が外部より低くなります。店舗の出入口が開きにくくなったり、扉の隙間から強く風が流れ込んだりすることがあります。

さらに、排気ファンの能力が十分にあっても、給気が不足していれば想定した排気量が得られない場合があります。燃焼機器の使用環境にも影響するため、排気設備を計画するときは給気設備も併せて検討することが重要です。

給気口の位置にも注意が必要です。給気された空気が排気フードの吸込みを妨げたり、厨房内の煙を客席側へ押し出したりしないよう、空気の流れを考えて配置します。

屋外排気口の位置も重要

厨房から吸い込んだ空気は、最終的に屋外の排気口から放出されます。そのため、排気口の位置や向きは、建物内だけでなく周辺環境にも関係します。

排気口が窓、出入口、給気口などに近いと、排出した空気が再び建物内へ入り込むことがあります。また、隣接する住宅や店舗に向けて排気すると、煙やにおいに関する問題につながる可能性があります。

排気口の位置を検討する際には、建物の用途、周辺建物との距離、風向き、道路や隣地との関係などを確認します。必要に応じて、排気方向の変更や排気位置の延長、集塵・脱臭設備の設置などを検討します。

排気ダクト内に油汚れがたまる理由

揚げ物、炒め物、焼肉、焼鳥などの調理では、油を含んだ細かな粒子や蒸気が発生します。排気フードやグリスフィルターで油分を除去しても、すべてを取り除けるわけではありません。

通過した油分は、ダクト内の壁面、曲がり部分、接続部分、排気ファンなどに少しずつ付着します。油脂の付着量は、調理内容、使用する油の量、営業時間、排気風量、フィルターの管理状態などによって異なります。

消防庁の検討資料でも、油脂を含む蒸気が発生する厨房設備では、ダクト内への油脂の付着と火災予防を考慮した管理の必要性が示されています。特に火気と排気取入口の距離が近い設備では、油脂の付着状況や防火設備の状態に注意が必要です。

排気ダクトの点検と清掃

排気ダクトは、外側から見ただけでは内部の汚れを確認できません。そのため、排気フード、フィルター、点検口、排気ファン、屋外排気口などを定期的に確認することが大切です。

確認する主な項目には、油汚れの付着、フィルターの目詰まり、異音や振動、吸込みの低下、油の垂れ、ダクト接続部のずれ、排気口周辺の汚れなどがあります。

清掃時期は、すべての飲食店で一律に決められるものではありません。油を多く使用する店舗と、蒸気が中心の店舗では、汚れ方が異なります。営業日数、営業時間、調理量、設備の構造などを踏まえ、点検結果に基づいて清掃時期を判断します。

日常的には、排気フードや取り外し可能なフィルターを清掃し、油汚れをダクト内へ流入させない管理が必要です。ダクト内部や排気ファンなど、分解や専門的な作業が必要な部分については、設備の構造を理解した施工・清掃事業者へ相談します。

排気ダクトを設計するときの注意点

排気ダクトの設計では、必要な排気量だけでなく、施工後の点検や清掃のしやすさも考える必要があります。

天井裏や床下にダクトを設置する場合、点検口がなければ内部の確認や清掃が難しくなります。曲がり部分、分岐部分、油がたまりやすい箇所などには、点検や清掃ができる構造を検討します。

排気ファンについても、風量だけで選ぶのではなく、ダクトの長さ、曲がりの数、フィルターや処理装置による抵抗などを考慮します。設備を追加すると空気抵抗が変化するため、既存の排気ファンで対応できるか確認が必要です。

また、建物ごとに構造や設備条件が異なり、消防、建築、衛生、管理規約などの確認が必要になる場合があります。新規出店や改装では、厨房機器や客席配置を確定する前に、排気経路と屋外排気口の設置可否を確認しておくことが重要です。


排気ダクトは、飲食店の厨房で発生する熱、蒸気、煙、におい、油を含んだ空気を屋外へ排出するための設備です。

排気フード、油脂除去装置、排気ダクト、排気ファン、屋外排気口などが連動することで、排気設備として機能します。また、安定した排気を行うためには、排気量に応じた給気の確保も欠かせません。

設備を計画する際には、調理機器の種類、火力、排気量、ダクトの経路、屋外排気口の位置、周辺環境、点検や清掃のしやすさなどを総合的に検討する必要があります。

すでに営業している店舗でも、煙の吸込みが弱い、厨房内が暑い、においが客席へ流れる、排気ファンから異音がするといった変化がある場合は、フィルターだけでなく、排気ダクトやファンを含めた設備全体の状態を確認することが大切です。

排気設備を適切に設計し、定期的な点検と清掃を続けることが、厨房環境を安定させ、設備を安全に使用するための基本となります。

排気ダクトの設計・施工・点検・清掃については、株式会社野田ハッピーのお問い合わせフォームよりご相談ください。

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