
焼鳥店では、焼き台から煙だけでなく、油分を含んだ細かな粒子も発生します。これらを適切に排気するためには、フードや排気ダクトだけでなく、油分を処理する機構を含めた排煙設備全体を適切な状態に保つことが重要です。
排煙設備は、設置すればそのまま使い続けられるものではありません。吸引部分やフィルター、内部の油処理部などには使用とともに汚れが付着するため、定期的な清掃と点検が必要です。
この記事では、焼鳥店向けのカウンター式排煙フードを例に、排煙の仕組みと日常的なメンテナンスについて分かりやすく説明します。
焼鳥店の排煙には油分が含まれている
焼鳥を焼くと、煙や水蒸気とともに油脂由来の細かな粒子が発生します。このような空気中に浮遊する微細な油分は、一般にオイルミストと呼ばれます。
排煙設備では、この煙やオイルミストを焼き台付近から吸引し、排気経路を通して屋外へ排出します。
ただし、油分を含んだ排気がそのままダクト内部を通過すると、条件によっては内部に油汚れが付着していきます。そのため、焼鳥店の排煙設備では、煙を吸い込むだけでなく、排気中の油分をどのように処理するかも重要になります。
排煙フードの基本的な仕組み
焼鳥店向けの排煙フードは、焼き台の近くに吸引口を設け、焼いているときに発生する煙を効率よく取り込む構造になっています。
一般的な構成としては、
・吸引グリル
・フード本体
・グリスフィルター
・排気経路
・油分を処理する機構
・温度を監視する装置
などがあります。
吸引グリルから入った煙はフード内部へ進み、グリスフィルターなどを通過します。その後、排気中に含まれる油分を処理する機構を通り、排気ダクトへ送られます。
つまり、フードだけで排煙を行っているのではなく、吸引、油分処理、排気という複数の工程によって構成されています。
排気中の油分を微細化する仕組み
油分処理機構の一つに、回転する羽根を利用して排煙中のオイルミストを細かくする方式があります。
排煙に含まれる油分を微細化することで、比較的大きな油滴がそのまま排気経路へ流れていく状態を抑える仕組みです。
資料では、排煙中のオイルミストを約0.3マイクロメートルまで微細化する構造が採用されています。
このような機構を使用する場合、回転羽根自体にも使用とともに油汚れが付着します。そのため、性能を維持するには羽根やケース内部を定期的に確認し、清掃する必要があります。
設備の仕組みとメンテナンスは別々に考えるのではなく、一つの運用として考えることが重要です。
グリスフィルターの役割
フード内部に設置されるグリスフィルターは、排煙に含まれる比較的大きな油分や汚れを捕集するための部品です。
営業を続けると、フィルターには少しずつ油汚れが付着します。汚れが増えたまま使用を続けると、排気の流れに影響する可能性があるため、定期的な洗浄が必要です。
メンテナンスでは、フード上部などのフタを取り外し、グリスフィルターを取り出して中性洗剤で洗浄します。
洗浄後は汚れや洗剤を十分に落とし、元の位置に正しく取り付けます。
フード内部は毎日の清掃が基本
焼鳥店では毎日の営業によって油汚れが発生します。そのため、フード内部については日常的な清掃が重要です。
基本的な清掃箇所は、
・吸引グリル
・フード内部
・グリスフィルター
・取り外し可能なフタ
などです。
吸引グリルやフード内部に付着した油は、放置せず定期的に拭き取ります。
特にフード内部は、営業終了後など設備の温度が十分に下がった状態で確認すると、汚れの状況を把握しやすくなります。
設備をきれいな状態に保つことは、衛生管理だけでなく、排煙設備を正常な状態で使用するための基本的な管理になります。
油処理部は定期的に点検・清掃する
回転羽根を使用する油処理部についても定期的な清掃が必要です。
メンテナンスでは、点検フタを取り外し、回転羽根の状態を確認します。必要に応じて羽根を取り外して洗浄し、ケース内部の油汚れも清掃します。
羽根を洗浄するときは、適切な洗浄方法を守ることが大切です。強力な洗剤を使用したり、必要以上に長時間浸け置きしたりすると、部品の変色や劣化につながる可能性があります。
洗浄した羽根は十分に乾燥させてから取り付けます。
また、再取り付けするときは、ワッシャーや固定ナットなどの部品を元の位置に戻し、確実に固定されていることを確認します。
清掃前には必ず電源を切る
排煙設備のメンテナンスで特に重要なのが安全確認です。
清掃や点検を始める前には、必ず設備の電源を切り、必要に応じて電源コードを抜く、またはブレーカーをOFFにします。
回転羽根を備えた設備では、電源が入った状態で内部に手を入れると非常に危険です。
また、営業直後のフードや周辺部品は温度が高くなっている場合があります。十分に温度が下がってから作業してください。
油汚れが付着している部品は滑りやすいため、フタ、フィルター、羽根、ネジなどの落下にも注意が必要です。
高所でのメンテナンスにも注意する
油処理部や点検口が高い位置に設置されている設備では、高所作業になる場合があります。
脚立やはしごを使用する場合は、安定した場所に設置し、転倒や落下を防ぐための安全対策が必要です。
また、点検フタやネジを外す際には、工具や部品が排気ダクト内部へ落下しないよう注意します。
設備によって点検方法や構造は異なるため、無理に分解せず、取扱説明書などで指定された範囲で作業することが基本です。
清掃後は動作確認を行う
清掃や部品の取り付けが完了したら、そのまま作業を終了するのではなく、動作確認を行います。
電源を入れ、
・回転羽根が正常に回転しているか
・異音や異常な振動がないか
・フタや部品が正しく固定されているか
・温度表示に異常がないか
などを確認します。
異音や振動がある場合は、羽根やフタ、固定ネジなどの取り付け状態を再確認します。
正常な状態を確認してから営業に使用することが大切です。
温度警報機の役割
排煙設備によっては、排気温度を監視する温度警報機が設置されています。
温度警報機は、排気経路の温度を常時確認し、あらかじめ設定された温度を超えた場合に警報音やランプで異常を知らせます。
警報が発生した場合は、そのまま営業を継続するのではなく、設備の稼働を停止し、排気温度が上昇した原因を確認します。
排煙設備では、煙を吸っているかどうかだけでなく、温度管理も重要な点検項目です。
「煙を吸わない」ときに確認する場所
使用中に以前より煙を吸わなくなったと感じた場合、すぐに設備本体の故障と判断するのではなく、周辺条件を確認します。
まず確認したいのが給気と排気です。
排気ファンが正常に動いていても、店内への給気が不足すると、必要な排気量を確保できないことがあります。
そのほか、
・給気口の状態
・排気ファンの状態
・グリスフィルターの汚れ
・吸引グリルの汚れ
・フードと焼き台の位置関係
なども確認します。
焼き台と吸引部の位置関係が変わると、煙の吸い込み方も変わるため、清掃だけでなく設置状態の確認も必要です。
油漏れや異音もメンテナンスのサイン
設備から油が漏れている場合は、まず定期清掃が行われているか確認します。
内部に油がたまっている場合は、電源を切り、設備の温度が下がってから点検・清掃します。
また、異音や振動が発生している場合には、回転羽根やフタ、固定ネジなどが正しく取り付けられているか確認します。
普段と異なる音や振動は、設備の状態を確認するきっかけになります。
異常を感じたまま使い続けるのではなく、一度停止して原因を確認することが基本です。
日常清掃と定期メンテナンスを分けて考える
排煙設備の管理では、「毎日行う清掃」と「定期的に行う点検・清掃」を分けて考えると管理しやすくなります。
日常清掃では、フード内部、吸引グリル、グリスフィルターなど、営業によって汚れやすい部分を中心に確認します。
一方、油処理部の回転羽根やケース内部などは、定期的な点検・清掃の対象になります。
どちらか一方だけではなく、日常清掃と定期メンテナンスを組み合わせて設備の状態を確認することが重要です。
焼鳥店向けの排煙フードは、焼き台から発生する煙を吸引するだけでなく、グリスフィルターや油分処理機構などを組み合わせて排煙を処理する設備です。
そのため、安定した状態で使用するには、フード内部や吸引グリル、グリスフィルターの日常清掃に加え、油処理部の羽根やケース内部の定期的な点検・清掃が必要です。
また、メンテナンスでは必ず電源を切り、設備が十分に冷えてから作業することが基本です。高所での作業や回転部品の取り外しを伴う場合には、より慎重な安全管理が求められます。
排煙設備は、日々の清掃と定期的な点検を継続し、煙の吸い込み、異音、振動、温度表示などの変化を確認しながら使用することが大切です。
焼鳥店の排煙設備やメンテナンスについてご相談がございましたら、株式会社野田ハッピーのお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。

