飲食店の排気の臭い対策|脱臭フィルターの仕組みと導入・維持管理のポイント


焼肉や焼鳥、炒め物などを提供する飲食店では、調理に伴って煙や臭いが発生します。厨房から排気することで店内の空気を入れ替えられますが、排気に含まれる臭いは、屋外へ出しただけで取り除かれるわけではありません。排気口の位置や周辺環境によっては、建物の外で臭いが気になることもあります。

排気の臭い対策を考える際は、臭いを処理する設備だけでなく、油煙の除去、ダクトの状態、排気量、設置場所を併せて確認することが必要です。この記事では、脱臭ハニカムフィルターを用いた消臭設備の特徴と、導入前に確認したい事項、維持管理のポイントを説明します。

1.飲食店の排気では、煙と臭いを分けて考える

調理中に発生する煙と臭いは、同じ排気の中に含まれていても、対策の対象が異なります。油煙には油分を含む細かな粒子があり、臭いへの対策では排気中の臭い成分を処理する必要があります。

そのため、目に見える煙が減ったことと、臭いが十分に低減されたことは、同じ意味ではありません。設備を検討する際は、油煙を除去する工程と、臭いを処理する工程を分けて確認することが大切です。

脱臭フィルターを用いた消臭設備は、臭いの処理を目的としています。添付資料でも、油煙を消す装置ではないことが明記されています。煙も臭いも気になる場合には、消臭設備だけで対応しようとせず、前段で油分を除去する設備を含めて検討する必要があります。

まずは、店内に煙が残っているのか、屋外の排気口付近で臭いが気になるのか、あるいは両方に課題があるのかを整理しましょう。問題が起きている場所を確認することで、点検する設備や相談すべき内容が明確になります。

2.脱臭ハニカムフィルターの仕組み

ハニカム構造とは、細かな通路が並んだ構造です。排気が通路を通る際にフィルターと接触することで、臭い成分を処理します。

添付資料では、この構造について、圧力損失とガスの接触効率に配慮したものと説明されています。圧力損失とは、空気がフィルターなどを通過するときに生じる抵抗によって、圧力が低下することです。

厨房の排気設備では、臭いを処理することに加えて、必要な排気量を確保することも欠かせません。フィルターを設ける際には、脱臭性能だけを確認するのではなく、空気が通過する際の抵抗と、排気ファンの能力を併せて確認します。

ハニカム構造であっても、設備全体の通気抵抗がなくなるわけではありません。ダクトや他の処理設備も含めた条件で、必要な風量が確保できるかを確認することが、導入時の重要なポイントです。

3.触媒と吸着剤を組み合わせた臭いの処理

添付資料で紹介されている脱臭フィルターは、常温で働く金属触媒と吸着剤を組み合わせています。吸着は、臭い成分を材料の表面に取り込む働きです。触媒は、化学反応を進める働きを持つ材料で、資料では吸着と併せて臭いの処理に利用されています。

ただし、「触媒と吸着剤を使用している」という情報だけで、あらゆる臭いへの効果を判断することはできません。導入時には、対象となる調理臭や使用条件に対して、どのような評価が行われているかを確認することが必要です。

また、常温で使用できるという特徴から、排気設備全体に電力が不要だと考えるのは適切ではありません。脱臭部分に電気機器がない構成であっても、排気を流すためのファンや、組み合わせる集塵設備については、それぞれの仕様を確認する必要があります。

設備の説明を読む際は、フィルター自体の特徴と、排気システム全体の運転条件を分けて捉えると、導入後の管理内容を理解しやすくなります。

4.脱臭フィルターの手前で油煙を除去する理由

調理排気を脱臭フィルターで処理する場合、前段で油分を除去することが重要です。添付資料では、油分を落とさずに油煙をフィルターへ入れると、目詰まりが起き、脱臭や分解の性能が急激に低下すると説明されています。

つまり、フィルターを設置すれば、それだけで安定した臭い対策が続けられるわけではありません。フィルターに届く排気の状態を整えることが、性能を維持するための前提になります。

前処理には、油分を除去する装置や電気集塵機などが用いられます。どの設備を組み合わせるかは、調理方法、油煙の発生状況、排気量、既存設備の構成を確認したうえで判断します。

既存の厨房に消臭設備を追加する場合は、現在設置されている油分除去設備についても確認しましょう。装置の有無だけでなく、汚れの蓄積や清掃状況、正常に運転しているかという点まで確認することが必要です。

脱臭フィルターの交換だけを繰り返しても、前処理の状態が適切でなければ、同じ問題が続くおそれがあります。臭い対策は、油煙の除去から脱臭までを一連の工程として考えることが大切です。

5.排気量に合った処理能力を確認する

消臭設備には、処理できる風量が設定されています。導入時は、厨房の排気量に合った処理能力を選ぶ必要があります。

店舗の広さだけで設備の大きさを決めることはできません。調理機器や排気フードの構成、同時に使用する機器、既存の排気ファンなどを確認し、対象となる排気系統を整理します。

複数の調理設備の排気が一つのダクトに集まる場合には、どこまでの排気を消臭設備で処理するのかも確認が必要です。一部の排気だけを処理する構成では、処理していない排気の臭いが残るためです。

また、フィルターや集塵設備を追加すると、排気経路の通気抵抗が変わります。既存のファンをそのまま使えるかどうかは、消臭設備の処理能力だけでは判断できません。

導入の相談では、機器の仕様書、ダクトの図面、排気ファンの情報などがあれば共有しましょう。資料がそろわない場合も、現地で設備の構成を確認することが検討の出発点になります。

6.設置場所と点検・交換のためのスペースを確認する

消臭設備は、本体が置ける場所を確保するだけでは十分ではありません。ダクトとの接続や、点検、フィルターの取り出しに必要なスペースも含めて検討します。

添付資料では、屋内や屋外、床置きや天吊りといった設置形態が示されています。ただし、設置方法の選択肢があることと、どの場所にもそのまま設置できることは別です。

床置きでは、本体の設置面や周囲の作業空間を確認します。天吊りでは、機器を支える方法や点検時の作業方法を確認する必要があります。屋外に設置する場合も、その場所で使用できる仕様かどうかを確認します。

特に、フィルターを取り出す側に十分な空間があるかは、導入前に確認したい事項です。周囲の壁や他の設備が取り出しを妨げると、点検や交換の作業に支障が出ます。

設置図面を確認する際には、機器の外形寸法だけでなく、扉やふたを開ける範囲、フィルターを引き出す方向、作業者が近づく経路まで確認しましょう。

7.脱臭性能の試験結果をどう読むか

添付資料には、調理排気に対する現地試験として、設備の入口と出口の臭気濃度を比較した結果が掲載されています。これは、その試験条件で臭いの低減が確認されたことを示す資料です。

ただし、試験結果を、すべての店舗で同じ効果が得られるという意味で受け取ることはできません。資料に示された除去率を、そのまま導入後の保証値として扱わないようにしましょう。

試験資料を確認するときは、どのような排気を対象にしたのか、入口と出口のどこで測定したのか、どのような運転条件だったのかを確認します。リーフレットだけで条件の詳細が分からない場合は、追加の説明や資料を求めることが大切です。

また、出口の臭気濃度が下がったことと、周辺のすべての場所で臭いが感じられなくなることは同じではありません。臭い対策の検討では、設備の処理性能に加えて、排気口の位置や周辺の状況も確認する必要があります。

導入前に「どこで、どのような臭いが問題になっているか」を整理しておくと、導入後に確認すべき場所や条件も明確になります。

8.耐久性と維持管理は分けて考える

添付資料では、脱臭部分に電気機器がないことが、耐久性に関する特徴として紹介されています。しかし、電気機器がないことは、点検や部材の交換が不要であることを意味しません。

脱臭フィルターは排気が通過する部材です。前処理の状態やフィルターの汚れ、通気の状態を確認し、使用条件に応じた管理を行う必要があります。

清掃や交換の方法は、フィルターの材質や構造によって異なります。自己判断で水洗いや薬剤洗浄をするのではなく、取扱説明書や供給元の指示を確認しましょう。交換時期についても、一律の期間を想定せず、使用条件と管理基準を確認することが大切です。

点検では、脱臭フィルターだけでなく、前段の油分除去設備、集塵設備、排気ファン、ダクトも対象にします。臭いが以前より強くなった場合には、フィルターの状態と併せて、排気経路全体を確認する必要があります。

清掃日、点検日、交換日、確認した汚れや臭いの状況を記録しておくと、変化を把握しやすくなります。担当者が変わっても管理内容を引き継げるよう、設備ごとの点検事項を整理しておきましょう。

9.不燃性のフィルターでも、排気設備の清掃は必要

添付資料では、フィルターの不燃性が特徴として示されています。ただし、この性質はフィルター材料についての説明であり、厨房の排気設備全体に油脂が蓄積しないという意味ではありません。

脱臭フィルターの前段で油分を除去する必要がある以上、油分を受け止める設備の点検や清掃も必要です。消臭設備の導入と、油汚れを管理する作業は、併せて考えましょう。

また、消臭設備は臭いの処理を目的とする設備です。排気フードやダクト、ファンの点検を代わりに行うものではありません。臭い対策を進める際も、既存の排気設備に必要な維持管理を継続することが基本になります。

機器単体の特徴だけに注目せず、油分の除去、排気の流れ、脱臭、清掃・点検をそれぞれ確認することで、設備の役割を整理できます。

10.相談前に整理しておきたい情報

消臭設備の導入を相談する際は、主な調理方法、煙や臭いが気になる場所、発生する時間帯、現在の排気設備を整理しておくと、確認すべき事項が伝わりやすくなります。

臭いが常に気になるのか、調理が集中する時間に強くなるのか、特定の料理を調理するときに発生するのかを記録しましょう。屋外で臭いが気になる場合は、その場所と排気口の位置関係も伝えます。

設備については、排気フード、油分除去設備、集塵設備、排気ファン、ダクト、排気口の情報を用意します。図面や仕様書がない場合には、設備の写真や、これまでの清掃・点検の記録も相談時の参考になります。

併せて、設置候補の場所と、点検・交換のために使える空間を確認しておきましょう。現状の問題と設備条件を共有することが、必要な対策を検討するための基本になります。


飲食店の排気の臭い対策では、脱臭設備の特徴を理解するとともに、油煙の前処理、排気量、設置条件、維持管理を確認することが大切です。

ハニカム構造の脱臭フィルターは、排気をフィルターに接触させて臭いを処理する設備です。調理排気に使用する場合は、手前で油分を除去し、フィルターの状態を適切に管理する必要があります。

導入を検討する際は、試験結果を参考にしながら、現在の店舗の排気条件に適合するかを確認しましょう。臭いが発生している場所と既存設備の状態を整理し、排気経路全体を見て対策を進めることが重要です。

厨房排気の臭い対策や消臭設備の導入をご検討の方は、現在の設備状況を添えて、株式会社野田ハッピーのお問い合わせフォームからご相談ください。

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