
焼肉店に無煙ロースターを導入する際は、単純に客席数と同じ台数を設置すればよいわけではありません。テーブルの配置、1卓あたりの利用人数、排気方式、熱源、ダクト経路、排気ファンの能力などを総合的に確認する必要があります。
特に店舗の席数が増えるほど、複数のロースターを同時に使用する時間帯が長くなり、排気設備や給気設備に求められる能力も大きくなります。ロースター単体の性能だけで選定すると、営業開始後に煙やにおい、室温、空調効率などの問題が生じる可能性があります。
本記事では、小規模店から大規模店まで、席数別に無煙ロースターを選定する際の基本的な考え方を説明します。
無煙ロースターは席数ではなく卓数を基準に考える
無煙ロースターの設置台数を検討する場合、最初に確認する項目は客席数ではなくテーブル数です。
例えば、同じ20席の店舗でも、4人掛けテーブルを5卓配置する場合と、2人掛けテーブルを10卓配置する場合では、必要となるロースターの台数が異なります。一般的には、1卓につき1台のロースターを設置するため、席数だけでは正確な台数を算出できません。
また、カウンター席を設ける場合は、座席ごとにロースターを設置するのか、複数人で1台を共有するのかによって設備計画が変わります。
最初に客席レイアウトを作成し、各テーブルの着席人数、通路幅、従業員の動線、配膳スペースなどを確認したうえで、必要な設置台数を決めることが重要です。
10~20席程度の小規模店における選定方法
10~20席程度の小規模な焼肉店では、ロースターの設置台数は数台程度になることが一般的です。ただし、店舗面積が小さいため、煙や熱が店内に広がった場合の影響が出やすい点に注意が必要です。
小規模店では、床下や天井裏に十分な設備スペースを確保できない場合があります。そのため、ロースター本体の寸法だけでなく、排気ダクトを通すためのスペースや点検口の位置も確認しなければなりません。
既存物件を改装する場合は、床下の高さ、梁の位置、天井高、外壁までの距離などによって、採用できる排気方式が制限されることがあります。
少ない台数であっても、各ロースターの排気をまとめるダクトや排気ファンの能力が不足していると、煙を十分に吸引できません。店舗が小さいから設備も簡単になるとは限らないため、内装設計の初期段階から設備業者に確認することが望まれます。
また、小規模店では客席と厨房の距離が近くなりやすいため、厨房側の換気とのバランスも重要です。客席排気と厨房排気を同時に使用したときに、店内の空気がどのように流れるかを確認する必要があります。
20~40席程度の中規模店における選定方法
20~40席程度の店舗では、4人掛けや6人掛けのテーブルを組み合わせるレイアウトが多くなります。この規模になると、ロースター単体の選定だけでなく、店舗全体の排気システムとして考えることが重要です。
ランチや夕食の繁忙時間帯には、複数のテーブルで同時に焼き物が行われます。そのため、一部のテーブルだけを使用した状態ではなく、すべてのロースターが稼働する状態を想定して排気能力を検討します。
排気ファンは、ロースターの台数や必要排気量に加え、ダクトの長さ、曲がりの数、ダクト径、屋外排出口までの距離などを考慮して選定します。ダクトが長い場合や曲がりが多い場合は、空気が流れる際の抵抗が大きくなるためです。
また、排気だけを強くすると、店内の空気が不足して扉が開きにくくなったり、外から空気が急激に流れ込んだりすることがあります。このため、排出する空気に見合った給気を確保しなければなりません。
給気口の位置が適切でない場合は、冬季に冷たい空気が客席へ直接当たることや、夏季に空調負荷が増えることもあります。排気設備と給気設備は別々に考えず、店内全体の空気の流れを確認しながら設計します。
40~80席程度の大型店における選定方法
40~80席程度の大型店では、ロースターの設置台数が増えるため、排気ダクトやファンの系統を分ける方法も検討されます。
すべてのロースターを一つの排気系統にまとめると、ダクトが大型化し、店舗の構造によっては設置が難しくなる場合があります。また、一部の設備に不具合が発生した際に、広い範囲の客席へ影響が及ぶ可能性があります。
客席エリアを複数の区画に分け、それぞれに排気系統を設けることで、営業時間や使用する客席数に応じた運用がしやすくなります。ただし、系統を分ける場合も、各区画のロースター台数やダクト経路を基準に設備能力を計算する必要があります。
大型店では、個室、テーブル席、宴会席など、異なる形式の客席が配置されることがあります。個室は壁や扉によって空気の流れが制限されるため、一般の客席と同じ考え方で給排気を設計すると、煙や熱がこもる場合があります。
可動式の間仕切りを使用する店舗では、間仕切りを開けた状態と閉じた状態の両方を想定し、空気の流れを確認することも必要です。
80席を超える大規模店における選定方法
80席を超える大規模店では、無煙ロースターの選定を店舗設備計画の一部として進める必要があります。
ロースターの台数が多くなると、排気量だけでなく、ガス、電気、給排水、空調、防火設備など、建物全体の設備容量との調整が必要になります。建物側の設備容量によっては、希望する台数をそのまま設置できない場合もあります。
複数の客席エリアを段階的に使用する店舗では、営業状況に応じて排気ファンを運転できるよう、系統を分ける方法があります。使用していない区画の設備を停止できれば、必要な範囲に合わせて運用できます。
一方で、複数の系統を設けると、点検対象となるファン、ダクト、フィルターなども増えます。そのため、導入時には設置可能性だけでなく、日常清掃や定期点検を行いやすい配置になっているかも確認します。
屋外の排気口については、隣接する建物、道路、住宅、窓、給気口などとの位置関係を確認することが重要です。排気口の位置や向きが適切でない場合、煙やにおいが周辺へ流れる原因になることがあります。
熱源の種類を店舗の運営方法に合わせて選ぶ
無煙ロースターを選ぶ際は、排気方式とともに熱源の種類も検討します。
熱源によって、焼き上がりの特徴、立ち上がり時間、温度管理、清掃方法、必要となる設備などが異なります。ガスを使用する場合はガス配管と換気条件、電気を使用する場合は電気容量と配線、炭を使用する場合は炭の保管や火起こし、灰の処理方法などを確認します。
どの方式が適しているかは、店舗の席数だけでは決まりません。提供するメニュー、客単価、営業時間、従業員数、調理方法、清掃体制などを踏まえて判断します。
特に卓数が多い店舗では、火力調整や燃料補充に必要な作業時間が店舗全体の運営に影響します。ロースターの性能だけでなく、従業員が安全に扱いやすいか、営業終了後に清掃しやすいかという点も重要です。
テーブル寸法とロースターの配置を確認する
ロースターは、テーブルの中央に設置できればよいというものではありません。焼き面の大きさ、食器を置くスペース、着席した際の足元、配膳時の動線などを確認する必要があります。
テーブルが小さすぎると、料理や食器を置く場所が不足し、利用しにくくなる可能性があります。反対にテーブルが大きすぎると、通路幅が狭くなり、客席数や従業員の動線に影響します。
床下排気方式の場合は、ロースターの位置に合わせて床下ダクトを施工するため、開業後にテーブル位置を大きく変更することが難しくなります。
将来的にテーブルを移動したり、客席レイアウトを変更したりする可能性がある場合は、計画段階で設備業者に伝えておくことが大切です。
清掃とメンテナンスのしやすさも確認する
無煙ロースターは、使用するたびに油や食品の細かな汚れが付着します。日常的に清掃する部品と、定期的な点検が必要な部品を事前に確認しておく必要があります。
設置台数が増えるほど、営業終了後の清掃作業も増えます。部品の取り外しや洗浄に時間がかかる設備を多数設置すると、従業員の作業負担が大きくなる場合があります。
ロースター本体だけでなく、フィルター、油受け、排気経路、ダクト、排気ファンなども点検対象です。点検口が家具や壁でふさがれていると、清掃や修理を行いにくくなります。
設備を選定する際は、日常清掃の手順、部品の取り外し方法、定期点検の範囲、交換部品の供給体制なども確認しておくと、導入後の管理がしやすくなります。
席数だけで判断せず店舗全体の条件を確認する
焼肉店の無煙ロースター選定では、席数は重要な基準の一つですが、席数だけで機種や設備容量を決めることはできません。
実際には、テーブル数、同時使用台数、熱源、店舗面積、天井高、ダクト経路、排気口の位置、給気量、空調設備、厨房設備などを総合的に確認する必要があります。
小規模店では限られた空間への納まり、中規模店では同時使用時の給排気バランス、大型店では排気系統の分割や設備容量、大規模店では建物全体の設備計画との調整が主な検討項目になります。
開業後に設備を変更する場合は、内装や床、天井、配管などの工事が必要になることがあります。客席レイアウトを決定する前に、無煙ロースターと排気設備の条件を確認し、店舗設計と設備設計を並行して進めることが大切です。

無煙ロースターの選定や店舗規模に応じた排気設備の計画については、株式会社野田ハッピーのお問い合わせフォームよりご相談ください。
